【並行世界無国籍サイバーパンク(?)日本】映画「スワロウテイル」が面白かった話
《昔むかし、“円”が世界で一番強かった頃。いつかのゴールドラッシュのようなその街を移民たちは“円都(イェンタウン)”と呼んだ。でも日本人はこの名前を忌み嫌い、逆に移民たちを“円盗(イェンタウン)”と呼んで蔑んだ。ここは円の都、イェンタウン。円で夢が叶う、夢の都。…そしてこれは、円を掘りにイェンタウンにやってきた、イェンタウンたちの物語──》
っていう冒頭のナレーションから映画が始まるんですが。
現役の中二病こと私こめっと21歳、
この時点でめっっっちゃ興奮してました!なんだこれは!!
「エッ何このあらすじ!何て言う映画なの?」
気になりますか?フフ…
岩井俊二さんと言えば、昨年アニメ版も公開された「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」で有名ですよね。(多分それ以外にもたくさん代表作あるんですけどなんせゆとりの若者なので知識がない…)
それ以前は、「三四郎の相田に似ている」ことしか知らなかった。(誰だよというツッコミは禁止)
岩井俊二
相田周二(ちなみにぼくは三四郎両方のサイン持ってます。ニッポン放送で出待ちして貰いました。)
ぼく自身「打ち上げ花火~」から岩井俊二さんを知った人間なので、岩井作品はこれで二作目になります。
そして二作観た結果、もう完全にファンです。はやい。
「打ち上げ花火~」は実写原作もアニメ版も大好きなんですが、今回はスワロウテイルの話をします。
【あらすじ】
"円"が世界で一番強かった時代。一攫千金を求めて日本にやってきた外国人達は、街を"円都(イェン・タウン)"と呼び、日本人達は住み着いた違法労働者達を"円盗(イェン・タウン)"と呼んで卑しんだ。そんな円都に住む、円盗たちの物語である。
少女・アゲハ(伊藤歩)は、円都の娼婦であり唯一の肉親である母が死んでしまい、行き場がなくなってしまう。母の同僚の無責任な大人達にたらい回しにされる中、娼婦グリコ(CHARA)の元に引き取られる。胸に蝶のタトゥーをつけ美しい歌を歌うグリコは、それまで名前がなかった彼女に"アゲハ"の名前を与える。グリコもまた、"円"を夢見て上海から日本にやってきた円盗だった。彼女の周りにいるのも、彼女と同じように円を求めて日本にやってきた円盗達だ。アゲハが彼らと共に過ごして数日経ったある日、アゲハを強姦しようとしたヤクザを誤って死なせてしまう。彼の体内には一万円札の磁気データが記録されたカセットテープが入っていた。
ひょんなことから一攫千金のチャンスを得た彼ら。データを元に作った偽札で儲け、グリコは歌手としての道を歩むが……。
(Wikipediaより引用)
円都っていう架空の街が舞台。そこは出稼ぎに来た外国人で溢れかえる無国籍地帯で、登場人物も英語、中国語、日本語が混ざったような言葉を話します。阿片街なんてものもあったりして。
主人公も娼婦だし本当に「底辺」って感じの地域なんですが、あらすじにもあるように万札の磁気データ持ってる奴がいたりそれを解読できちゃうやつがいたり、不自然にテクノロジーが発展してるみたいな側面もあってこの辺含めてブレードランナーっぽい世界観ではあります。
「それで結局何が面白かったんだ?」
それなんですが、もう全部言っちゃったかもしれない。ストーリー自体も勿論面白いんですけど、やっぱり一番の魅力はこの斬新な設定、雑多な世界観を見事に映像化してる所ですね。
洋画ならまだしも、邦画で真面目に「架空の日本」を描いた作品って殆ど観たことが無いんですよね。なんでなんだろうな。
(大抵そういうのって漫画原作のやっすいCGゴリゴリ系で、かつコメディ調のイメージ。「銀魂」とかあとはテレ東深夜枠、特撮とか。「仮面ライダービルド」の世界観も日本が三分割されてしまった!みたいな設定です。)
「架空の日本」を題材とした作品が少ない理由として「映像化の難しさ」というのは勿論あると思います。
スワロウテイルに関しては、これがものすごくリアル!!「これは本当に日本なのでは?」と錯覚するような、本当に見事な映像です。阿片街のシーンなんてめちゃくちゃ怖かったもん。
でも、こういう無国籍地帯的なものって実際世界中にありそうですよね。あるいはかつてあったのかも…。
もし超好景気が続いて、円が世界一になったらこんな未来もあるのかもな~…笑
とにかく圧倒的なリアリティの「無国籍カオス日本」が観られる!コワイ!のでめっちゃオススメです!みんな観て!!
NETFLIX入ってる人はすぐ観れますよ!!
※あまり関係ないかもしれませんが、「架空の日本」を描いたSF作品としては、村上龍の『五分後の世界』とか『希望の国のエクソダス』が面白かった記憶があるので、一応リンクを貼っておきます。